💡矯正治療の常識を変える!「MSE」で大人も骨格から上顎を広げる時代へ

「歯並びを治したいけど、大人の骨はもう固まってるから難しいのでは?」 「できれば歯を抜かずに矯正したい」
そうお考えの方へ、「MSE(Maxillary Skeletal Expander:上顎骨骨格性拡大装置)」という画期的な矯正装置についてご紹介します。MSEは、これまで難しかった成人の上顎(うわあご)の骨格的な拡大を可能にし、外科手術や抜歯を避けるための強力な選択肢となりつつあります。
MSEとは?従来の拡大装置との違い
MSEは、矯正治療で上顎の幅が狭い場合に使用される装置です。
| 特徴 | MSE(Maxillary Skeletal Expander) | 従来の拡大装置(急速拡大装置など) |
| 拡大の支点 | 上顎の骨(ミニスクリュー) | 歯 |
| 拡大レベル | 骨格レベルの拡大(顎整形的拡大) | 歯の傾斜・間接的な骨の拡大 |
| 成人への効果 | 高い効果が期待できる | 骨が固まっているため効果が出にくい |
| 使用する固定具 | 歯科矯正用アンカースクリュー(ミニスクリュー) | バンド(歯に被せる金属の輪) |
🔩 仕組み:ミニスクリューで骨に直接アプローチ
従来の装置は、歯を押す力を利用して拡大するため、成人の場合、骨は広がらずに歯が外側に傾いてしまう(歯槽性拡大)傾向がありました。
これに対し、MSEは4本のミニスクリューを上顎の骨にしっかりと埋入し、これを支点として中央のネジを回します。強固な固定源があるため、左右に分かれている上顎の骨(正中口蓋縫合)をダイレクトに引き離すことができます。これにより、成長が完了して骨が固まった成人でも、骨格そのものを拡大することが可能になったのです。
MSE矯正の大きなメリット ✨
MSE矯正が注目される主な理由は、その画期的な効果と患者さまの負担軽減にあります。
- 1. 抜歯を回避できる可能性の向上 上顎を骨格的にしっかり広げることで、歯を並べるためのスペースが確保しやすくなり、今までスペース不足で抜歯が必要だったケースでも非抜歯での治療につながることがあります。
- 2. 成人でも骨格レベルの拡大が可能 成長期を過ぎた方でも、ミニスクリューの力を借りて、歯への負担を最小限に抑えつつ、顎の骨の幅を広げることができます。
- 3. 呼吸機能の改善が期待できる 上顎を広げることは、歯並びだけでなく健康面にもメリットがあります。上顎のすぐ上には鼻腔(鼻の通り道)があります。

上顎が広がると鼻腔や気道も広がるため、鼻詰まりや口呼吸、いびきなどの改善に良い影響を与える可能性があります。
- 4. 治療後の後戻りが少ない 無理に歯を傾けるのではなく、骨そのものを拡大して土台を整えるため、治療後の歯列がより安定しやすいとされています。
- 5. 外科手術の負担を軽減 以前なら上顎の拡大のために外科手術(SARPEなど)が必要だった大きな骨格的問題も、MSEを用いることで、外科手術なしで対応できるケースが増えています。
MSEの注意点とデメリット ⚠️
画期的な装置ですが、いくつか知っておくべき点もあります。
- 装置の違和感・発音への影響 上顎の天井部分に装置が付くため、慣れるまでは違和感や話しにくさ、食べ物の飲み込みにくさを感じることがあります。
- アンカースクリューの埋入が必要 装置を固定するために、上顎の骨にミニスクリューを埋め込む処置が必要です(局所麻酔を行い、比較的短時間で終わります)。
- 一時的な「すきっ歯」 上顎の骨が左右に離れることで、一時的に前歯の間に隙間(正中離開)が生じます。これは拡大が順調に進んでいる証拠ですが、見た目が気になる時期があります(その後、ワイヤー矯正などで閉じます)。
- 清掃の難しさ 装置が固定されているため、歯磨きや食後の清掃には丁寧なケアが必要です。
まとめ:MSEはこんな方におすすめ
MSE矯正は、特に以下のようなお悩みを持つ方に適している可能性があります。
- 「成人だが、上顎の狭さが原因で歯並びが悪い(出っ歯やガタガタ)」
- 「できる限り歯を抜かずに矯正したい」
- 「上顎の拡大と同時に、鼻呼吸のしやすさも手に入れたい」
MSEは非常に効果的な装置ですが、適応症例は患者さまの骨の厚みや状態によって異なります。まずは歯科医師による**精密検査(CT撮影など)**を受け、ご自身の歯並びや骨格に最適な治療法かどうかを相談することが重要です。
新しい技術を取り入れた矯正治療で、理想的な歯並びと健康的な呼吸を手に入れましょう!