舌の癖(舌突出癖)と歯並びのお話

〜MFT(筋機能療法)は本当に役立つの?〜

舌突出癖ってなに?
「舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)」とは、飲み込むときや普段お口を休めているときに、舌が前に出てしまう習慣のことです。
たとえば、
- 飲み込むときに舌先が前歯の間から出る
- 休んでいるときに舌が前歯に触れている
といったことが見られます。
成長の過程でよくあること
実は赤ちゃん〜幼児期では、みんな舌を前に出して飲み込みます。これは“異常”ではなく、成長の一過程。
2歳〜12歳くらいの間に自然と大人の飲み込み方へ移行していきます。
舌の安静位がカギ
論文の中で強調されているのは、「舌が動くとき」よりも安静時の舌の位置が歯並びに大きく影響するということです。
舌が普段から前歯に当たっていると、弱い力でも長時間かかることで歯が少しずつ動き、
- 前歯がかみ合わない「開咬」
- 前歯が前に出る「出っ歯」
といった歯並びの原因になることがあります。
MFT(筋機能療法)の役割
MFTは、舌や唇の正しい使い方を練習するトレーニングです。
- 舌の安静位を正しい位置(上あごの天井に軽くつける位置)に導くことで、歯並びへの悪影響を減らすことができます。
- 矯正治療と組み合わせると、歯並びの安定や再発防止に効果を発揮します。
- 発音に影響がある場合は、MFTを言語療法と組み合わせることで改善が期待できます。
実際の治療例
論文では、前歯がかみ合わない(開咬)の子どもに「ハビットガード」や「プレオルソ」といった装置を使い、
- まず「✖ダメな舌の位置」を教える
- その後「◯正しい舌の位置」を学ばせる
というステップで改善した症例が紹介されています(写真と経過データあり)。
まとめ
- 舌突出癖は成長の途中でよくあること。
- ただし、舌の安静位が前歯に当たっていると歯並びに影響することがあります。
- MFTは「予防目的」でむやみに行うものではありませんが、歯並びや発音に影響がある場合にはとても有効です。
- 特に矯正治療と組み合わせることで、歯並びを安定させる強い味方になります。
👩👩👧👦 保護者の方へ
「うちの子、舌を前に出してるけど大丈夫かな?」と思ったら、まずは専門の歯科医に相談してください。
MFTは“舌の体操”ではなく、歯並びの安定と将来の笑顔を守る大切なトレーニングです。